どうも、久しぶりの登場になりますフクローラン2号です。
以前から木村塾長に対して聞きたいと思っていた「土曜チャレンジ」に関するインタビューをさせて頂く機会を久しぶりに得ることができました。この活動に参加されようと思ったきっかけ、参加してみてどうだったか、そしてローランの講師たちは今なぜこの活動に積極的に参加していこうとされているのか。
ローランの講師たちの熱い心をお伝えできればと思います。
木村塾長、お久しぶりです。ご多忙中にも関わらずお時間をとって頂きありがとうございました。今日は「土曜チャレンジ」についてお話を伺いたいのですが。(フクローラン2号)
インタビューは久しぶりですね(笑)。
「土曜チャレンジ」ですか。ご存知ない方も多いかもしれませんね。最近始まったことですから。いいでしょう、何でも聞いて下さい。(木村)
では、まずは「土曜チャレンジ」について教えて頂けますか?
はい、「土曜チャレンジ」は簡単に言うと「月に2回、土曜日の放課後に学校で塾の先生が開く勉強会」とでも言いましょうか。ローランの講師が大東市の学校に出張して生徒たちに勉強を教えているんですよ。
現在出張しているのは住道中学校(以下「住中」と記す)で、今年で3年目になるのですが、ありがたいことに生徒さんや親御さんにも大変好評を頂いています。平成23年の6月から新たに北条中学校(以下「北中」と記す)にも講師を派遣できることになり、講師のモチベーションも上がっています。
え!?ちょっと、待って下さい。塾の先生が学校で教えてるんですか?
驚きますよね(笑)。今はそういう時代なんですよ。
今までは学校が終わってから塾へ来るというのが一般的で、学校と塾の先生同士がタッグを組んだり、協力し合うということは利害関係もあってほとんどなかったのですが、私は以前からそういう古いしがらみというか、固定観念から脱却しないといけないと思っていたんですね。子供たちの総合的な指導と学力向上のために学校と塾がもっと協力すべきじゃないか、と。
で、ある日偶然四条中学校(以下「四中」と記す」の校長先生とお話できる機会を得たんですよ。この方がとても教育熱心な方でして、残念ながら現在は退職されてしまっているんですが、教育談義に花を咲かせるうち、放課後学級の導入を検討しているというお話になったのです。私も興味はあったので、とてもいいお話ができたのですが、その時は諸事情もあり、実現はしませんでした。
その後、同じように放課後教室に興味を持っておられた住中の校長先生とお話する機会があって、この方ともお互いの考え方が近いことを知ったんです。そのことにお互いが共感し、「それじゃ、やってみようか」ということになったんですよ。
でも、講師の人にも給料を払わないといけないでしょ?
一般的にはそういうことになるんですが、実はこの企画に参加させて頂いた1年目から無報酬で参加させて頂いているんです。
へ? 何でですか!? タダ働きすることに講師の人たちは何も言わなかったのですか?
もちろん講師たちとも話しましたよ、「どうする?」ってね。でも、彼らと私が出した答えは「無報酬で引き受ける」ということでした。このことについて「タダ働きをさせられるのはイヤだ」なんて文句を言った者は誰1人としていませんでしたよ。彼らを見ていてとても頼もしく思えましたね。
もちろん、金銭面だけではなく、いろいろ心配したのですが、彼らの言葉は「教壇に立つ練習をさせてもらっているんだから、報酬はいらないので是非ボランティアででも参加させて下さい」でした。そういう彼らを見ていて思ったんです。「あぁ、自分の若い頃と似ているな」って。
私はこういう前向きな気持ちを大切にしたいですし、そういうチャレンジ精神に溢れた若い世代を育てていきたいと考えています。私自身もこういう気持ちを持ち続けようと努力してきたからこそ、長年先生を続けて来られたんだと思います。この仕事は時間で割り切れない部分がたくさんあるんですよ。授業の準備もそうですしね。そういったまっすぐな心を持った若い先生は、「お金、お金」と言ってくる人にはない良い眼をしている人が多いんですよ。
頼もしい講師陣ですね~。先生としての質の向上もできるんですね。
そうですね。今回のチャレンジは先生にとってもメリットが多いんです。これから先生を目指す方々たちにとって、ローランのような個別指導の塾で2~3人の生徒を相手に教えるのと、20人以上の大クラス相手に教えるのでは、全く違うと思うんですよね。果たして自分がそういう状況においてもちゃんと教えることができるか、自分は先生としてしっかりとやっていけるか、そういった先生としての資質を確認できる場でもあるんですよ。
もちろん、そういう大人数相手に教えることで指導力も飛躍的にアップします。
指導力というのは人を導く力ですから、いくら良いテキストを使っていても、それを伝える人が悪ければ何も伝わりません。声の大きさや聞き易さ、理解のしやすい丁寧な解説、生徒のレベルによってその解説を使い分けたりといった生徒への配慮を経験することで、指導力は格段に伸びます。そのことを身をもって体験できるんです。
へぇ、そうなんですね。テキストは何を使っているんですか?
決まったものは使用していないんです。
講師たちが手作りのプリントを毎回作ってきているんですが、これがとても良いんです。それぞれの講師が授業のシュミレーションをし、どうすれば生徒側に伝わるかを考えながら作ってくるものなので効率的に指導ができますし、講師たちがお互いに良い教材を作ろうと競い合っているんです。このことが良い相乗効果を生み出しているんですよ。
そして、講師側のもう1つのメリットは、学校で実際に教えている先生方と交流できることなんです。
授業後のミーティングなどで参加された先生からいろんなアドバイスを頂けるんですが、これがとても正直なコメントが多くて、ついつい熱い教育談義に花が咲いてしまうこともあるんですね。いろんな意見、いろんな見方を通して自分の指導方を見つめ直す機会があるというのは、我々塾講師だけでなく、今教育の最前線で苦労されている先生方にとっても良いことだと思うんです。
今回の「土曜チャレンジ」に参加して、木村塾長の中に何らかの手ごたえはありましたか?
とにかく、いろんな意味でチャレンジでした。
学校で教えるなんて初めての経験で、どこまで実のある結果を残せるか分らないし、我々もどこまで責任を持ってできるかハッキリしない。それでも、やってみなければ結果は分らないでしょ?その点、ローランの講師たちは前向きでした。「教育実習の場として活用できる」とか「学校の雰囲気の中で教えてみたい」って言い合っててね。手ごたえといえば、講師たちのこういった自覚が生まれたことが一番大きなことだと思います。
新しいことにチャレンジするとき、人はたくさん苦労し、悩みながら成長するでしょ?今の我々がまさしくそうですね。毎年、いろんなことが起きますが、前向きにチャレンジしています。おかげさまで生徒だけでなく、保護者の方からも好評を頂くようになりました。
保護者の方々からも好評ということなんですが、保護者も参加されているんですか?
いえいえ、実際の「土曜チャレンジ」に参加しているのは生徒だけですが、彼らが家に帰ってからこの企画のことについて親に話したり、普段家で勉強しない子が珍しく机に向かうのを見たりして、徐々に保護者の方々へもその存在が認知され、評判が広まっているようです。「急に勉強するようになったんだけど、学校で何かありました?」なんて問い合わせがあったのかもしれませんね(笑)。
へぇ~そうなんですか。それでは実際に保護者の方と関わる機会はないんですか?
いえ、全くないわけではないんです。
実は2年目の夏前に思春期の多感な中2生の保護者の方々を集めて住中で保護者のための進路相談会を開催させて頂いたことがあったんです。いつも塾の懇談会などで保護者の方と接していて、今の保護者の方がどこまで子供を客観視できているか、塾に子供を通わせている保護者の方々とは違う視点や考え方をお持ちなのではないか、そういったことを知りたくなったんですね。
当初はその名の通り、高校のことを含めて進路のことについて話す予定でしたが、今そういう話をしてしまえば、逆に保護者の方を焦らせ、悪い意味で煽ってしまうことになるのではないかと心配したんですよ。「あぁ、うちの子は何もできていない」と思えば思う程、つい口調もきつくなって結局は親子ゲンカになってしまったり...。
受験を前にした子供たちのためにそれだけは避けたいという思いが強くなってきて、結局私は進路のことを話すかわりに「親と子の関わり方」や「食育」などについてのお話をさせて欲しいと学校側にお願いしたんです。
なるほど、その結果どうだったんですか?
学校側の理解も得られ、話をさせて頂いたんですが、保護者の皆さんからの反響は想像以上でした。
同学年の保護者の方々は今回の話を聞くまで、周りの親達も自分と同じ悩みを抱えているということを実感できていなかったようで、後に聞かされた反響の中でも、「どれだけ普段子供たちのことを見ていないか、どれだけ子供たちを追い詰めているかについて初めて気付かされた」というお母さんたちの驚きの声が多かったように思います。
私はそもそも学校と地域、そして保護者がお互いに連携して子供達を見守るシステムを推進したいと願っているんですが、保護者は保護者同士のつながりが希薄になりがちですし、同じように学校同士、地域同士の情報共有や協力の体制がまだまだできていないと感じます。だからこそ、こういう機会に悩んでいるのはあなただけではないと気付いて頂き、違う視点から話を聞いてもらって、自分と子供の関係を振り返って頂くというのはとても意義のあることだと思うんです。
自分のこと、子供のことが見えていない親が多いんですね。
そうですね。保護者の方から頂いたコメントに「中2の子供を最後に誉めてあげたのはいつだったかすら覚えていない」という意見がありました。実際、保護者の方もそれだけ必死になっているんですけど、子供にしてみたら息が詰まりますよね。
保護者の方々の多くは「子供を誉めて認めてあげる」ということを忘れていたんですよ。そのことに多くの方々に気付いて頂けたということを後に知って、とても嬉しい気持ちになりました。
それではここで保護者の方々からのコメントをいくつか私が選んだので、ご紹介させて頂きます。
住道中学校進路説明会アンケート(2010年7月22日)実施分より
- 木村先生のお話は親として改めて考えていかねばならない教育の意味を教えて下さったように思います。我が子、そして他の子たちへも改めて対話、対応していこうと思えました。先生の実体験も交えて、とても意味深い講演でした。ありがとうございます。土曜チャレンジ等で子供たちがお世話になっていることを心強く思います。
- 自分の子をほめるという事、出来そうで中々できないんですが、頑張ってほめていこうと思います。私はコテコテの大阪のオバチャンタイプなので、木村先生が言われた「そういう方の子供ほど打たれ弱い」という言葉にドキッ!とさせられました。
- 中2が不安定な時期で皆さん悩んでいるのだということがよくわかり、よかったです。ほめることは難しいですが、頑張ってほめていこうと思いました。
- 勉強になるお話をありがとうございました。うちは男の子なので、女の子に比べてコミュニケーションが大切で、少し気にかけていないと、今何をしているのか全く分らなくなってしまうので、毎日学校生活やクラブのことを少しでも聞くようにし、コミュニケーションを図ろうと思います。
- ローラン教育学院の塾長さんより、子供をほめる大切さを教えていただきました。本当に子供達もほめられることを待っていると思う機会があります。難しい思春期に向けてとても大事なことだと痛感しました(食育、団らん含める)。
- 子供の良いところをもっと増やせる親になりたいと思いました。又、逆に子供から見て親のいいところを語ってもらえるかと考えると反省することばかりです。
- 子供とのコミュニケーションについて考えさせられました。木村先生が子供の頃お忙しい親の元に育たれた体験のお話を聞かせて頂きまして、親が子供に対する思いは通じるし、精一杯できる事、又さびしさを埋める何か(ほめ言葉やごほうび)をする事によって、子供は愛情を感じ、元気に成長してくれるのかな?と感じました。
- 木村先生のお話は教育するという立場で子供たちの事を考えて下さっているのが分かった。子供を誉める事。思い返すと、最近思春期を迎えて会話が減り...いつ誉める言葉を掛けただろう。今日は誉めてみようかな。
- 食育について、頑張って料理を作っていかないといけないなと思いました。
- 木村先生の講演も聞かせて頂き、他のお母さん達の意見なども聞け、他の人に聞いてもらえたことで少し気持ちが楽になりました。
- 土曜チャレンジは申し込んでいながらも、サッカー(クラブチーム)の活動が休みの日と試験前しか行けずにいますが、参加した時は「めっちゃプラスになった」と言っています。今日、木村先生のお話を聞いて、共感できるところがたくさんあったので、行ける限りまた参加させて頂きたいです。今日帰ったらほめるところを探します(14年前の今頃、陣痛で苦しんでいたことを思い出しながら)。
というわけで、いろいろご意見を頂いたわけですが、木村塾長として最後にコメントを頂けますか?
保護者の方々からは、本当に様々な意見を頂きました。ここに挙げたのはほんの一部なのですが、本当に率直に書いて頂いたと感謝しています。今後も保護者の方々とのつながりというのも大切にして、またこういう機会を与えて頂ければと願っています。
私はローラン教育学院という塾を通して、今の学校や家庭、地域を見ているわけですが、「土曜チャレンジ」のような私が今できる努力を一つひとつ重ねていくことで、地方の個人塾のほんのわずかな努力かもしれませんが、こういった努力の輪が広がれば大東市、大阪府、いや長い目で見れば日本全体の教育だってもっと良くなっていくはずだと確信しています。
とても大きな話になってしまいますが、私個人としても、ローランとしても、もっと日本の教育を良くしていきたいと常々願っているんです。でも、誰かが変わらなければ何も変わりません。私にできることがあればさせて頂きたいと思っています。
木村塾長、今日はありがとうございました。より良い教育を目指し頑張って下さい。
こちらこそ、ありがとうございました。頑張ります。
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※文章は読みやすいように文字装飾を施してありますが、内容については一切編集をしていません。
※アンケートは保護者の方が書かれた通りに転載してありますので、表記に若干のゆれがあります。