フクローラン2号と申します。

私は、現在ローラン教育学院のホームページを作成を担当させて頂いているのですが、この度「取材特集」の新企画として木村知明塾長にインタビューをさせて頂きました。ここで語られた木村塾長の言葉は、すなわちローラン教育学院という塾の教育観であり、指導方針でもあります。この記事は私と木村塾長との対談という形にまとめてありますので、ローランがどんな塾かを知りたい方はぜひ読んでみて下さい。

もう少し子どもたちと本音で関われる時間が欲しい

それでは今回、新企画第1弾として、木村塾長をお招きしてローラン教育学院という塾につい
いろいろ教えて頂こうと思います。木村塾長よろしくお願いします。(フクローラン2号)

こちらこそよろしくお願いします。
今年で学習塾を運営して24年目になりますが、ようやくローランが目指す教育というものが徐々にですが確立されてきたように思います。(木村)

24年ですか!それほど長い時間がかかるものなのですね。以前と比べるとローランはどのように 変わったのですか?

以前は現在と比べると、寺子屋精神が強かったですね。

分からないもの同士が集まり、互いに学び合うのですが、そこに先生、つまり私がいて教えて回るんです。どれだけ成績が低い生徒でも、入塾を断ったりしませんでした。勉強したいという気持ちがあれば、他の生徒と助け合いながら頑張ってくれていましたから。

塾としてどんどん成長し、進学塾となって野崎駅前に移転してからも「地域密着」という誇りは捨てず頑張っています。「より良いテキスト」、「より良い授業法」、「より良い教え方」を毎年模索し、その中でその年の生徒のレベルをみながら最適と思われるものを厳選して授業を展開してきました。良いと思えるものであればパソコン授業やカリスマと呼ばれる講師たちのネット授業など、取り入れられるものなら可能な限り導入してきました。良いと評判なものは試してみないと気が済まない性格なので(笑)。

そういった努力のおかげで塾生の成績は比較的安定してきたのですが、それでもやはり退塾してしまう塾生もポツポツといたんですよね。もしかしたら我々は新しいものを追いかけすぎていたのではないか、授業の完成度ばかりを考えて自己満足に浸ってしまっていたのではないか、彼らの本音をもう少しゆっくり聞いてあげることができていればと、後悔したこともありました。それからカウンセリングや面談を強化するようになったのですが、改まった場所や親の前で本音を言える子どもは少ないですし、時間も限られてしまう。私がもう少し子どもたちと本音で関われる時間が欲しいと思うようになってきたんです。

子どもたちが抱える悩みやストレスをどう受け止めるか

なるほど、すでに塾は勉強を教えるだけの場所ではないのですね。

ローランに限って言えばそうですね。
勉強さえ教えていれば別に他のことはどうでもいいかというとそうではないと思いますよ。いろんな家庭環境、友達関係、自分の進路などの悩みを抱えています。そういう子どもたちに悩みを抱えさせたまま勉強に集中させるという方が無理なのです。そういう悩みに耳を傾け理解してあげるという姿勢も学校や塾などで教育に携わる者には必要ではないかと思うのです。

私が講師として授業する時間を減らしたのもそれが理由なんですよ。

今までは良い授業を組み立てることにばかり考えてしまい、子どもたちの表情や日々の変化などに中々気付くことが難しかったんです。授業で私が担当していればいいのですが、そうではない生徒たちとは挨拶を交わす時くらいしか話す機会はありませんでした。しかし、今私は塾長としてローランの教室全体をゆっくり見渡せる時間を多く作れるようになりました。そうすると今まで気付かなかった子どもたちの表情や、授業に臨む姿勢などの微妙な変化が分かるようになってきたのです。

今では子どもたちや保護者の方々の悩みや相談に耳を傾けたり、講師たちの授業を見ながらアドバイスしたり相談にのったりと今までとは違う仕事で忙しくなりましたね(笑)。塾なのになぜと思うかもしれませんが、特に今の子どもたちは多くのストレスを抱えています。友達のこと、家庭のこと、学校のこと、そして勉強のこと。私の個人的な見解ですが、子どもたちが抱えているストレスや悩みは我々大人が思っている以上に深刻なことが多いのです。

例えば、どんなストレスを抱えているのですか?

一番多いのはやはり自分の成績に関してですね。成績が低い、思うように上がらない、今のままでいいのか不安...など。でも、成績の低い子どもたちだって、好きで成績が低いわけではないんです。
勉強したくても勉強のやり方が分からない、家に帰れば勉強できる環境がない、理解したくてもその知識がない、教えてくれる人が回りにいない、そういうのは一般的に見れば「わがまま」や「言い訳」と一蹴されてしまいがちですが、それこそ子どもたちが抱えている深刻な悩み、心の叫びなんだということが分かってきたんですよ。

「勉強しなさい!」

「何でこんなことも分からないの?」

そういうことを口やかましく言われ続けた子どもは萎縮し、自分はできないんだと思い込み、勉強することに楽しさを見出すことができなくなっていきます。そしてそのままできないでいると再び「勉強しなさい」と叱責され、ますます子どもたちのストレスは蓄積されていくという悪循環に陥ってしまう。でも、頭ごなしに親や周りの人間が勉強させるというのは、果たして「教育」と言えるでしょうか?他人に「やらされる」勉強ほど苦痛なものはないと思いますよ。

先生とは本来子どもの先導者であるべき

確かに。義務教育というよりも、強制労働みたいなものに思えますね(苦笑)。

私が理想とする教育は全て子どもたちが主役です。

子どもたちが自分から進んで学び、考え、調べ、理解する。学校や塾の先生というのは本来子どもたちにそういうことを教えるべきだと思うんですね。「先生」というものは本来、子どもたちを解決へと導く先導者であるべきで、一から十まであれこれ指示したりすべきではないと思っています。私は勉強の内容云々よりも、勉強することの楽しさ、面白さを子どもたちに知ってもらいたいんです。

でも、現実は中々そうさせてくれない。受験は迫ってくるし、そうなると自分の将来を考える必要がある。時間は過ぎていくのに、子どもたちは中々自分から動こうとしない。だから親や周りの人間の方が先に焦ってしまい、口やかましくあれこれ指示をする。でも、子どもたちは動きたくても動けないのです。やる気を削がれ、自分から行動を起こす元気もなく、何に対しても全くやる気が出ない程に憔悴しきっている。そういう状態でローランに面談に来られる子どもさんとその傍らで「勉強する気がない」とお子さんを責め立てる親御さんの姿を私は今まで何度も見てきています。

親御さんはどうでしょうか?皆さんが木村塾長のそういう考え方に共感されますか?

親御さんというのは当然ながら塾というものを非常にシビアに見ていらっしゃいます。
お子さんの成績が上がれば良い塾、上がらなかったり下がったりすれば悪い塾と評価基準はハッキリしていますね。受験生の親御さんでしたらもっと厳しいです。「合格」か「不合格」しかないのですから。高い月謝を払って、成績を上げるために、志望校に合格させるために塾へ通わせているわけですから当然です。こういった私の考え方に対しては、好意的なご意見をお持ちの親御さんが多いのですが、現実が中々それを許してはくれないのです。

子どもの成長が大切だと頭では分かっていても、現実には受験が近づき、待っていられる時間的な余裕がなかったり、成績という数字だけにこだわり過ぎて、子どもたちの変化に無関心な親御さんも実は多いのです。入塾してすぐは成績が上がり、塾を評価して下さった親御さんでも、その後数ヶ月通っても一向に成績が伸びないのを見るや「この塾の教え方はうちの子には合っていない」と退塾を希望される。そういうケースもありました。

それは厳しいですね。

結果が出せなかった我々の落ち度もあったのですが、とても悔しかったですね。

その子なりに頑張っていたんですよ。最初は「何から勉強すればいいの?」と一から十まで講師に聞かないと何もできなかったのに、成績が上がってからは「塾長、今日はこれを勉強させて」と前回できなかった単元を自分から勉強したいと言い出してくるようになったのです。

私にとってはこういう変化こそ親御さんに見て頂きたいのです。自分から学ぼうとする姿勢というのは学校を卒業し、社会人になってからも大切ですし、そして自分で考え理解できた時の嬉しさは我々大人でも日々経験するものです。その時の嬉しさが難しい問題にぶつかった時に折れそうな心をそっと支えてくれるんですよ。

わずか数ヶ月の数字だけで評価を下されたのが、とても残念で辛かったですね。その時は残念ながらその子の親御さんにそういう変化は評価して頂けないまま、退塾されてしまいました。

塾の立場としては難しい問題ですね。成績を上げることが第一の目標ですからね。

もちろんそうです。今までもそういうことがある度に、講師同士が集まって問題点を話し合ったり、改善策を幾度となく講じてきました。これは親御さんの考え方に責任があるのではなく、点数を上げることができなかった我々の指導法に問題があったと。

実際、そういうことがある度に我々の至らなかった部分を教えられることが多いのです。今では無料体験中に気付いた子どもさんの個性や学力を研究し、一人ひとりに合った勉強法の提案と初期カウンセリングでの親御さんや子どもたちとの十分な話し合いを行い、納得して頂いた上で入塾して頂いていますので、そのような事例も以前に比べて減少してきています。

そういうことの積み重ねがすべて今のローランにつながっているんだと思います。

我々は一人ひとりの個性を忘れてはならない

なるほど、個性というものを重視する姿勢というのはこのホームページでも強調されていますね。

ええ、そうなんです。子どもたちには皆一人ひとり「個性」があります。勉強に対する姿勢一つとっても、真面目にじっくり取り組む子どもさんもいれば、要領良くパパッと終わらせて次々新しいことを吸収しようとする子どもさんもいる。そういう子どもたちをたくさん集めて大人数の中で授業すると少しずつ個性の差が成績の差となって現れてくるんですよ。我々はそういう一人ひとりの個性を忘れてはいけないんです。

次々新しいことに挑戦したい子どもの積極的な気持ちを他の生徒との都合で損ねてはいけませんし、じっくりと納得できるまで学びたい子どもの気持ちを無視して次に進むこともできません。1クラス3~4人程度の講義授業だけではそれほどの差は生まれませんが、いざ演習を始めてみると理解度の差は歴然としてきます。実は今、我々が重視しているのは、一人ひとりに合った演習と家庭学習の確立なんです。

演習と家庭学習が大切なのです

なるほど、塾の中だけではなく、家に帰ってからの勉強も大切だということですね。

講義授業の内容を子どもたちに理解させるのは各講師の技量によるところが大きいですが、だからといってカリスマ講師と呼ばれる大手学習塾や予備校の先生の授業を受ければ必ず成績が伸びるかというとそうではないと思います。授業を受けた時は理解できたとしても、実際に問題を解いてみるとやっぱりできないというのでは意味がありません。

重要なのはその授業の後のフォローをどれだけ的確にできるかということだと思います。

だからこそ、演習と家庭学習が大切なのです。親御さんには塾に行っているから安心という考え方ではなく、子どもたちが塾で吸収した知識をどれだけ問題を解いて消化できているかというところもしっかり見て欲しいですね。

しかし、宿題というのは子どもたちにとってはあまり増えて欲しくないものだと思うのですが。

家庭学習の習慣が身についていない子どもたちにとってはそうでしょうね。

しかし、ローランでは問題を解きながら自分の弱点を認識させ、苦手な単元を自ら宿題として課すよう指導しています。家庭学習というのは講師が生徒に指示をするのではなく、子どもたち一人ひとりが自分たちに合った量、やり方を考え、自分たちの頭で解いていかなければならないものだと私は考えます。講師たちがすることは子どもたちが考えた宿題の量や内容についてアドバイスしたり結果をチェックするだけです。

つまり、誰かにやらされるのではなく、自分からやろうとする気持ちをいかに芽生えさせるかがポイントなのです。量も内容も自分たちで考える。宿題を減らすには、自ら理解し弱点を克服しなければいけません。そうやって、子どもたちは皆自分たちを高める努力をするようになるのです。

なるほど、それが今のローランが目指す教育なのですね。

そうです。今思えば当たり前のことなんですけどね(苦笑)。

また、ローランは子どもたち一人ひとりだけではなく地域社会というものの存在も大切にしています。例えばいろんな講演に参加させて頂き、教育について地域の方々と一緒に考えたりするのもそうですし、最近ではボランティアで公立の学校に教えに行くなどして、学校と塾とのつながりというものも模索し始めています。子どもたち一人ひとりの向こう側に親御さんがいて、そのまた向こうにはそれぞれが暮らす地域があり、社会があるのです。それらを結ぶ架け橋になるというのが私の理想ですし、これから塾がそういう役割も担っていく必要があると感じています。そういうところまでフォローできるようになれば、ローランはもっと良くなると思います。

そして、これからも常に改善していく努力を惜しまず、時代や地域のニーズに合った教室作りを目指し、共に成長していくことができればいいですね。

今日はとてもいい話が聞けました。ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

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※文章は読みやすいように文字装飾を施してありますが、内容については一切編集をしていません。

※木村塾長の言葉は全てこの文字色で統一しています。